暗い上

長い前

離せない後ろ

乾かない下

誰もいない左

自分ではない右
長崎駅の入り口から数十歩だけ離れて振り返る

薄灰色の雲の際に陽がついていた

伸びてきた線が落ちたアスファルト

剥げた斑の白線を革靴で踏むと

コツと乾いた空気が伝わった
風をあびれば変わるんじゃないかと

イキツギなしでたくさんペダルを踏んだ

陽があたたかかった

手がつめたかった

胸が軽いのにきずいたのは夕方

周りのみんなが楽しそうだった

薄蒼い光が胸を通り抜ける
夜の河川敷

堤防からあふれる街灯が

星のない空を

薄紫に染めてた